
▲鶏肉の安全性
Yahoo!ニュースに面白い記事が発表されていました。
鶏肉の安全性に関する論文検証です。
昨今は、牛肉やその他の赤肉よりも、鶏肉(特にササミなど)が健康に良いと宣伝されています。
フィジークに励む若者が増え、見た目改良の男性が増えてきた影響もあり、餌のようなダイエット食・低カロリー食をInstagramにアップしてアピールする人も大勢います。
そんな風潮に一石を投じかねない論文が出てきました。
特に消化器癌の発生に着目した解析が気になった内容です。
上⬆は原著論文です(気になる方は読んでみて下さい)。
久しぶりに真面目に読んでみました。
この論文の精度を支えるのが、評価母数が4869人と多いことです。
死亡者の評価も評価区分毎になされている点も正確さを高めています。
英語の論文なので、要旨を下記にまとめます。
背景:
家禽肉は現在、イタリアおよび世界中で最も広く消費されている肉類の一つである。
家禽肉は手頃な価格で入手しやすいため、世界的に高い消費率を示している。
本集団ベースの前向きコホート研究は、南イタリアにおける肉類消費と消化器癌およびその他の死因との関連性を調査した。
方法:
MICOLおよびNUTRIHEPコホートの参加者4869名からデータを収集した。
食品・飲料摂取に関する情報はEPIC質問票を用いて収集した。
分析目的で、週当たりの肉類摂取量を以下の4カテゴリーに分類した。
総肉類:<200g、201-300g、301-400g、>400g
赤身肉:<150g、150-250g、251–350g、>350g
家禽肉:<100g、100–200g、201–300g、>300g
統計解析にはCox比例ハザード回帰および競合リスクモデルを採用した。
結果:
①週当たりの家禽肉摂取量を分析した結果、300g超摂取群は100g未満摂取群と比較し、全死因死亡リスクが27%高いことが確認された。
②さらに胃癌については、週300g超の鶏肉摂取における標準化死亡率は2.27倍であり、男性では2.61倍に上昇した。
③その他の肉類摂取量区分では、全死亡率に統計的有意差は認められなかった。
④消化器がんについては、総肉類の週間摂取量が200~300gの場合、週200g未満摂取者と比較して死亡リスクが54%低下した。
結論:
本研究では、週300gを超える家禽肉摂取が、全死因死亡リスクおよび消化器癌死亡リスクの統計的に有意な増加と関連することが示された。
このリスクは女性よりも男性で高い。
鶏肉がカロリーが低くてタンパク質が多いからと、若い世代の男性をメインに摂取が盛んです。
ボディーメイクに勤しむ人たちには鶏肉は神食品のように扱われています。
上の統計解析では、鶏肉の摂取が多くなると胃腸癌が増えることが示唆されました。
牛肉や豚肉などを複合的に摂取する群ではむしろ抑制効果が期待されるようです。
正憲は昔からチキン🐓の安全性には“感覚的に”疑問を持っていましたが、一つの論文で証明がなされた形です。
しかし、これはイタリアのある地域の解析であり、食文化が異なる日本に完全に当てはまるわけではありません。
食物の人体に対する影響は人種差や民族差があることが分かっています。
日本人が乳製品の消化分解能が低く、欧米人が海藻類の消化に適さない体質であるなど。
今回の研究では、鶏肉より牛肉や豚肉が安全だ、と結論づけているわけではありません。
牛肉などの大量摂取が大腸癌や直腸癌と関連が深いという研究は多くあります。
これまで評価が少なかった鶏肉の大量摂取が、人体にどう影響を与えるのかを示唆した研究と言えます。
偏った摂取の仕方やタンパク変性を増加させる調理法などを避けることが求められています。
フィジークやビディービル、牛肉豚肉排斥信仰の方々には、将来への影響を考えた上でチキン料理をどう摂取するかを考える良い機会ではないでしょうか。
ちなみに、肉と食べる人と食べない人での寿命の差があるという研究結果はまだ出ていないようです。
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