▼閑職神

まずは、タイトルの『閑職神』とは何か?

至高の神であるにも関わらず、人間からの祭祀を受けない神さまのことらしいです。

天の至高神の信仰は原始的な宗教にも認められることが指摘されており、その崇高さゆえに段々と人々が安易に祭らなくなり、実際的な祭祀を受けなくなる「閑職神」となる傾向が見られる

日本の歴史上、宗教史上でも閑職神として考えられている神さまがいらっしゃいます。
造化三神と呼ばれる日本開闢の神さまのことで、歴史上も宗教上も「開闢」の瞬間しか出てきません。
何をして、何の御利益があって、のちにどう影響したか、が全く以て不明な神さま。
その神さまが『天之御中主神』です。

造化三神は他に高御産巣日神神産巣日神に2神がいらっしゃいますが、天之御中主神よりは日本書紀や古事記での記述が見られます。
あまりにも祀られていなかったため、記紀以前に存在していたか疑わしいという見解もあるようです。
しかし、平安時代初期には一部の国造家系や服部氏などの一部で信仰されていたようなので、のちに語られる道教やキリスト教の影響による想像神(創造神ではない)とも言い切れないようです。
日本では鎌倉時代以降に様々な政治的、宗教的変遷で解釈が加わり、江戸~明治時代には国家宗教の変遷に影響されて、急激に信仰の名告りを上げる神社が増えてきたようです。

天之御中主神の特徴としては、まずは「独神」ということが挙げられます。
ほとんどの神さまは男女対であったり、分裂して増えてもその出自がはっきりしています。
しかし、天之御中主神には対となる存在がなく、孤立した神さまです。
同じ造化三神である高御産巣日神神産巣日神は対として扱われています。

二つ目の特徴は「性別不明」または「性別がない」という点です。
絵画で示される場合は「男神」として描かれていることが多いようですが、性別を示す根拠はどの文献にも載っていません。
開闢神という立場上、すべてを生み出す「無性」の存在と考えるほうが良さそうです。
そうなると、現在の生物学的には「雌性」ということになりそうですが、宗教とは相容れない発想かもしれません。

三つ目の特徴は、何の御利益があるのかが不明、という点です。
日本を開闢したあとにササッと隠れてしまわれたので、国土創生以外に功績が見当たらないのです。
いやいや、国土創生自体が大した功績なのですが、人類が期待する御利益部分は完全に不明なのですよ。
御利益が不明な神さまはなかなか祀りにくいということです。

せっかく日本の国土を創生したのに祀ってもらえずに「閑職神」とまで言われている天之御中主神ですが、近世~近代になって全国の神社で祭神として信仰されて始めていますので、近くにそんな神社があれば是非とも参拝してみて下さい。
沖縄には残念ながら天之御中主神を祀る神社はありませんが、琉球開闢神を祀る神社は多くあります。
日本開闢神と琉球開闢神の関係について、宗教の裏解釈や陰謀論では興味深い解釈が多いですが、話がだいぶ大きくなるのでここでは語りません。
ヒントとして「伊平屋島」という単語は載せておこうと思います。

来年は「沖縄離島巡り」と「裏歴史探訪」の旅行を再開しようと思います。

正憲
▼神秘・靈性

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