<5>COVID-19の抗ウイルス薬について
この記事は以前にLINEのタイムラインに載せた内容の備忘録です。
最新の内容ではなく、私見も含まれるのでその点をご了解下さい。
常に最新の情報を入手するように心掛けて下さい。
[令和2年4月28日 LINEタイムライン掲載]
新型コロナウイルスについて、文中では「SARS-hCoV-2」と表記します。
ワクチンとともに早期開発が望まれているのが抗ウイルス薬です。
ワクチンは予防のため、抗ウイルス薬は治療のための薬剤です。
通常ですと、ワクチンも抗ウイルス薬も開発から臨床使用までに数年から十数年かかります。
現在はこの時間を短縮して、来年にでも抗ウイルス薬を使用開始できるように必死の開発が行われています。
薬剤の開発は既存の薬剤からの部分変更であっても、動物実験や臨床実験、副作用などの追跡調査が行われ、簡単には進みません。
特に薬効ですが、効く部分や方法が既存の薬剤と同じであれば、それ以上の薬効であることが望まれます。
効くための方法(作用機序)が違う場合でも、同等以上の薬効が求められます。
さらには、効果があっても副作用が強いまたは多い場合は薬剤としては認められません。
こういう試験をかなり省略して、来年には臨床現場に登場させたいということです(世界規模の人体実験と言われる所以?)。
ウイルスは、ワクチンも治療薬も開発がとても難しいです。
【資料3】に示すように、細胞内に寄生して増殖し人体を侵していくという生態がそうさせます。
特に治療薬(抗ウイルス薬)は開発に難渋します。
いくつもの薬が出てきますが、多くは無効か効果が弱く、消えていきました。
【資料1】は現在あるワクチンや抗ウイルス薬の比較です。
インフルエンザワクチンは接種したことがある人が多いでしょう。
毎年予測したA型2株+B型1株の3価混合ワクチンか、A型2株+B型2株の4価混合ワクチンです。
あまり予測が当たったことがないので「△」になっています。
治療薬としてはタミフルやイナビルがあり、それなりの効果を上げていると思います。
表では「△」になっていますが、初期の効果が高いことから「△~○」と思います。
HIVやC型肝炎は抗ウイルス薬でかなり制御できるようになってきました。
この開発経験がSARS-hCoV-2に結びつくことでしょう。
【資料2】は既存薬を新型コロナウイルス肺炎に使用している例です。
某男性俳優の治療に「アビガン」が使われ脚光を浴びていますが、初期にしか使えないことや副作用があることから制限が多いです。
現在は研究として投与されています。
これらの薬剤に共通しているのは高価であるということ。
タミフルなどのように製造が簡単なうえに安価で提供できる薬剤でないと、世界中で使うのは難しいです。
COVID-19のようなパンデミックを防ぐには、一部の国だけでなく、世界各国で一斉に投薬することが必要になります。
【資料3】はウイルスの増殖の仕方を示した図です。
細かなところの違いはありますが、概ねこのような増殖過程です。
抗ウイルス薬は「ウイルスをたたく」と表現されますが、人体に投与した後には「ハエ叩きで蝿を殺す」ような直接的な方法ではなく、蝿が産んだ卵が孵らないようにしたり蛆が成長しないようにする方法で増殖を防いでいきます。
間接的な方法です。
初期に効きやすいのは、ウイルス量が少ない時期のほうが増殖を抑えやすいからです。
増えてしまってからではウイルスの増殖を抑えられない可能性が高いわけです。
機序が難しいので詳細は述べませんが、SARS-hCoV-2の「RNA」は変化しやすい部類です(突然変異)。
この「RNA」の増殖を防ぐ部分に効く薬剤を開発するとウイルスの変化に対応できず、すぐに効かない薬剤になってしまう可能性があります。
ですので、SARS-hCoV-2の抗ウイルス薬開発には今後の突然変異にも対応しうる薬剤が望まれます。
かなりターゲットを絞った開発になりますので、世界中の研究機関や製薬会社は相当頭を悩ませていることでしょう。
それ以上に、開発に成功すれば人類貢献はもとより、莫大な利益も見込めます。
市民としては、安全で安価で薬効の高い抗ウイルス薬の早期開発を期待します。
長々とすみません。